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1992年の半導体産業・技術分野の重要な動向

1992年の半導体産業は、DRAM市場の変化、マイクロプロセッサの進化、ファウンドリ産業の拡大、日米半導体摩擦の影響、韓国・台湾の成長といった重要な動きが見られました。特に、韓国のサムスン電子がDRAM市場で世界トップに躍進したことは、業界全体に大きな影響を与えました。


1. サムスン電子がDRAM市場で世界トップに

主要な動向
1992年は、韓国のサムスン電子がDRAM市場で日本企業を抜き、世界トップのシェアを獲得した年として特筆されます。

- サムスン電子が16Mbit DRAMの量産を加速し、世界市場でのシェアを拡大。
- DRAM市場における韓国のプレゼンスが強まり、日本企業の優位性が揺らぐ。
- サムスンは既に32Mbit DRAMの開発を進め、次世代メモリ市場の主導権を狙う。

影響
- 日本企業(NEC、東芝、日立、三菱電機)にとって大きな脅威となり、価格競争が激化。
- 韓国政府の支援を受けたサムスンが、国際市場での競争力を確立。
- 1990年代後半にかけての韓国の半導体産業の台頭を決定づける出来事となる。


2. 32Mbit DRAMの開発と次世代メモリ技術の進展

主要な動向
1992年は、32Mbit DRAMの試作が完了し、量産に向けた準備が進められた年でした。

- 日本、韓国、米国の企業が32Mbit DRAMの開発を競う。
- NEC、東芝、サムスン電子、IBMなどが量産技術の確立を目指す。
- 64Mbit DRAMの研究も開始され、メモリの大容量化が進展。

影響
- コンピュータのメモリ容量が拡大し、アプリケーションの処理能力が向上。
- メモリ市場の競争が激化し、価格下落圧力が強まる。


3. マイクロプロセッサ市場の競争激化

主要な動向
1992年は、マイクロプロセッサ市場においてx86系とRISC系の競争が本格化した年でした。

- IntelがPentium(P5)プロセッサを発表(1993年発売予定)。
- AMD、Cyrixがx86互換プロセッサの開発を加速し、Intelの独占に挑む。
- Apple、IBM、Motorolaが共同開発するPowerPCの詳細が発表され、RISCアーキテクチャの市場拡大が期待される。

影響
- PC市場の成長が続き、より高性能なプロセッサが求められる。
- x86 vs RISCの競争が激化し、各社の開発競争が加速。
- AMDやCyrixの参入により、Intelの市場支配力が揺らぎ始める。


4. ファウンドリ産業の成長と台湾の台頭

主要な動向
1992年は、TSMC(台湾積体電路製造)とUMC(聯華電子)が急成長し、ファウンドリビジネスが本格的に拡大した年でした。

- TSMCが世界初の専業ファウンドリ企業としての地位を確立。
- 米国のファブレス企業(NVIDIA、Broadcom、Qualcommなど)がTSMCと提携し、ASIC市場が拡大。
- UMCもファウンドリ事業を拡大し、台湾が半導体製造の中心地として認識されるようになる。

影響
- 設計と製造の分業が加速し、ファブレス企業の成長が促進。
- 台湾が世界の半導体製造拠点として確立される。
- 米国企業が台湾のファウンドリを活用し、日本の製造業との差別化を図る。


5. 日米半導体摩擦の影響の継続

主要な動向
1992年も、日米半導体摩擦の影響が続き、日本企業への圧力が強まる状況でした。

- 1986年の日米半導体協定の改定により、米国製半導体の日本市場でのシェア目標がさらに引き上げられる。
- 日本企業は米国市場での競争力維持のため、現地生産を拡大。
- 米国政府は日本企業の競争力を抑制しようとする動きを強める。

影響
- 日本企業の半導体市場での優位性が徐々に低下。
- 韓国・台湾の企業が成長し、日本の市場支配が揺らぎ始める。


6. 韓国・台湾の半導体産業の成長

韓国
- サムスン電子がDRAM市場で世界トップに。
- 韓国政府が半導体産業への投資を拡大し、技術力向上を促進。

台湾
- TSMC、UMCが世界のファウンドリ市場で影響力を拡大。
- 台湾が半導体製造の中心地として成長。

影響
- 韓国がメモリ市場での影響力を拡大、日本との競争が激化。
- 台湾がファウンドリ市場を拡大し、グローバルな半導体供給チェーンの一翼を担う。


まとめ


1992年の半導体業界は、市場競争の激化と技術革新が進んだ年でした。主な動向は以下の通りです。

1. サムスン電子がDRAM市場で世界トップに
→ 韓国の半導体産業の成長を決定づける出来事。

2. 32Mbit DRAMの開発と次世代メモリ技術の進展
→ メモリ市場の競争が激化し、大容量化が進行。

3. マイクロプロセッサ市場の競争激化
→ Intel vs AMD・Cyrixの競争が本格化し、RISCアーキテクチャの市場拡大が期待される。

4. ファウンドリ産業の成長と台湾の台頭
→ TSMC、UMCが成長し、台湾が半導体製造の拠点として確立。

5. 日米半導体摩擦の影響の継続
→ 日本企業への圧力が続き、韓国・台湾の成長を後押し。

1992年は、韓国の台頭、台湾のファウンドリ成長、日本の半導体産業の競争力低下というグローバルな市場変化が明確になった年であり、1990年代の半導体産業の競争構造を決定づける年となりました。





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