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2021年の半導体産業・技術分野の重要な動向

2021年の半導体産業・技術分野の主要動向

2021年の半導体業界は、世界的な半導体不足の深刻化、5nmプロセスの本格展開と3nm技術の進展、AI・データセンター向け半導体の需要拡大、自動車向け半導体の供給危機、米中対立と半導体サプライチェーンの地政学的変化、RISC-Vの台頭、半導体企業の大型投資とM&A(合併・買収)の活発化といった重要な動きがありました。

特に、新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの混乱と、半導体供給不足が世界経済に与えた影響が大きな話題となりました。


1. 世界的な半導体不足の深刻化

主要な動向
2021年は、新型コロナウイルスの影響による供給網の混乱と、需要の急増によって、半導体不足が深刻化した年でした。

- 自動車業界、家電、PC、スマートフォンなど幅広い分野で半導体不足が発生。
- 特に自動車向け半導体の供給が滞り、トヨタ、フォード、GMなどの生産ラインが停止。
- 台風や火災(ルネサスの工場火災など)、水不足(台湾のTSMC)などの自然災害も供給不足を悪化させる要因に。
- 企業は在庫確保を急ぎ、半導体の長期的な安定供給を求める動きが活発化。

影響
- 半導体不足が原因で自動車メーカーの生産台数が大幅に減少し、2021年の世界自動車市場の成長が抑制された。
- 半導体の需要と供給のバランスが崩れ、特定のチップの価格が急騰。
- 政府や企業が半導体の供給安定化を目的とした工場建設投資を加速。


2. 5nmプロセスの本格展開と3nm技術の進展

主要な動向
2021年は、5nmプロセスが本格的に量産され、3nm技術の開発が進んだ年でした。

- TSMCが5nmプロセスを用いた量産を拡大し、Apple M1、A15 Bionicなどに採用。
- Samsungも5nmプロセスの量産を加速し、Exynos 2100などを生産。
- Intelが2021年に5nm相当の「Intel 4」プロセスの計画を発表し、2023年の量産を目指す。
- TSMCとSamsungが3nmプロセスの開発を進め、2022年以降の量産を計画。

影響
- 5nm技術により、スマートフォンやPCの省電力化と高性能化がさらに進む。
- 3nm世代に向けた投資が加速し、EUV(極端紫外線リソグラフィ)の重要性が高まる。
- 半導体の製造コストが増大し、TSMCとSamsungの寡占化が進む。


3. AI・データセンター向け半導体の需要拡大

主要な動向
2021年は、AI(人工知能)やクラウドコンピューティング向けの半導体市場が拡大した年でした。

- NVIDIAが「Hopper」アーキテクチャの開発を進め、AI・機械学習市場向けGPUの進化を継続。
- Googleが独自のAIプロセッサ「TPU(Tensor Processing Unit)」をさらに強化。
- Amazon、Microsoft、Meta(旧Facebook)なども、クラウドデータセンター向けの専用チップを開発。
- AIアクセラレーターやカスタムASICの開発が増え、クラウド事業者の半導体内製化が進む。

影響
- AI・クラウド市場の成長により、データセンター向けGPUやTPUの需要が急増。
- カスタムチップ市場が拡大し、半導体メーカーのビジネスモデルが変化。


4. 自動車向け半導体の供給危機

主要な動向
2021年は、自動車産業における半導体不足が深刻化し、EV(電気自動車)やADAS(先進運転支援システム)の普及が進んだ年でした。

- TSMC、Infineon、STMicroelectronics、ルネサスが自動車向け半導体の増産を発表。
- 自動車メーカーが半導体メーカーと直接契約を結び、安定供給を確保する動きが加速。
- EV市場の成長に伴い、パワー半導体(SiC、GaN)の需要が急増。

影響
- 自動車メーカーが半導体の供給を確保するため、直接取引や新たなサプライチェーン戦略を推進。
- SiCやGaNなどの次世代パワー半導体の開発が進み、EVの電力効率向上が期待される。


5. 米中対立と半導体サプライチェーンの変化

主要な動向
2021年は、米中対立が半導体産業に大きな影響を与えた年でした。

- 米国がHuaweiに対する半導体輸出規制を強化。
- 中国が国内の半導体自給率向上を目指し、SMIC(中芯国際)への投資を拡大。
- TSMC、Samsung、Intelが米国や欧州への新工場建設を発表し、地域分散化が進む。

影響
- 半導体製造の地政学リスクが高まり、各国政府が国内生産を支援。
- 中国の半導体自給戦略が加速し、次世代技術開発の競争が激化。


6. RISC-Vの台頭

主要な動向
2021年は、オープンソースISA(命令セットアーキテクチャ)であるRISC-Vが注目を集めた年でした。

- SiFiveやAlibabaがRISC-Vベースのプロセッサを開発。
- NVIDIAがRISC-Vに対応する開発環境を発表。
- GoogleやQualcommがRISC-Vを研究し、商用化の可能性を模索。

影響
- RISC-Vの採用が広がり、x86やARMに対する新たな競争要因となる。
- 特にIoTやエッジデバイス向けの低消費電力プロセッサ市場で拡大の可能性。


まとめ

2021年は、半導体不足と新技術の進展が同時に進んだ年でした。主な動向は以下の通りです。

✅世界的な半導体不足の深刻化。
✅5nmプロセスの本格展開と3nm技術の進展。
✅AI・データセンター向け半導体の需要拡大。
✅自動車向け半導体の供給危機。
✅米中対立と半導体サプライチェーンの変化。
✅RISC-Vの台頭。

2021年は、半導体業界が世界経済と地政学の影響を強く受けた年となりました。



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