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ディー・ウェイブ・システムズ(D-Wave Systems)の概要

D-Wave Systems(ディー・ウェイブ・システムズ)は、カナダのブリティッシュコロンビア州バーナビーに本社を置く、量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、サービスの開発・提供におけるリーダー企業です。1999年の創立以来、世界初の商用量子コンピュータを提供し、量子アニーリング技術を活用したシステムを市場に投入しています。


1.経営方針と経営戦略

D-Waveの経営方針は、量子コンピューティングを理論研究の域から実用的な商用ソリューションへと進化させることに重点を置いています。具体的には、量子アニーリングとゲートモデルの両方の量子コンピュータを開発し、企業が直面する複雑な問題を解決するための実用的なアプリケーションを提供することを目指しています。2022年2月には、DPCMキャピタルとの取引を通じて、商用量子コンピューティングを一般市場に投入する計画を発表し、さらなる市場拡大を図っています。


2.事業規模と研究開発

D-Waveは、創立以来200件以上の米国特許を取得し、量子コンピューティング分野での技術的優位性を確立しています。研究開発は主にカナダの量子センター・オブ・エクセレンスで行われ、次世代のアニーリング量子コンピュータやゲートモデル・プログラムの推進、Leap™量子クラウド・サービスの強化に注力しています。


3.事業内容

D-Waveの主な事業内容は以下の通りです。

✅量子コンピューティングシステムの開発・提供:量子アニーリング技術を活用した商用量子コンピュータの提供。

✅ソフトウェアとサービスの提供:Leap™量子クラウド・サービスを通じて、開発者や企業がリアルタイムで量子コンピュータにアクセスし、ハイブリッド量子アプリケーションを構築できる環境を提供。

✅アプリケーション開発支援:顧客と協力して、物流、人工知能、材料科学、医薬品開発、サイバーセキュリティ、金融モデリングなど、多岐にわたる分野での量子アプリケーションの開発を支援。


4.国際戦略と日本との関係

D-Waveは、米国、カナダ、欧州、日本、シンガポール、オーストラリアなど、世界各国で事業を展開しています。特に日本市場においては、NECとの協業を通じて量子コンピューティングの普及を推進しています。2019年12月、NECとハイブリッドサービスの開発や量子クラウドサービスの販売・マーケティングに関する協定を締結し、NECはD-Waveに1,000万ドルの投資を行いました。さらに、2020年6月には共同で量子製品の開発、マーケティング、販売を開始し、2021年12月にはNECがD-WaveのLeap™量子クラウドサービスの初のグローバルリセラーとなるなど、協力関係を深化させています。


5.保有技術

D-Waveは、量子アニーリング技術を基盤とした量子コンピューティングシステムを開発・提供しています。また、ゲートモデル量子コンピュータの開発も進めており、両技術を組み合わせることで、さまざまな産業分野の複雑な問題解決に寄与しています。特に、Leap™量子クラウドサービスを通じて、開発者や企業が量子コンピュータにリアルタイムでアクセスし、ハイブリッド量子アプリケーションを構築できる環境を提供しています。

D-Waveは、量子コンピューティングの商用化を推進し、企業が直面する複雑な課題解決に貢献することを目指しています。特に日本市場においては、NECとの強力なパートナーシップを通じて、量子技術の普及と実用化を加速しています。




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