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1950年の半導体産業・技術分野の重要な動向

1950年は、半導体産業の黎明期であり、トランジスタ技術が徐々に発展し始めた時期です。この年に起きた重要な出来事を以下にまとめます。


1. トランジスタ技術の発展

●1950年は、トランジスタの商業化に向けた準備が進んだ年でした。
●1947年にベル研究所(AT&Tの研究部門)でバーディーン、ブラッテン、ショックレーによって点接触型トランジスタが発明され、1948年には接合型トランジスタ(ショックレー型トランジスタ)が発明されました。
●1950年には、トランジスタの基本的な理論や設計が確立され、実用化に向けた開発が加速しました。
●トランジスタを用いた電子回路が研究され、真空管に代わる新しい技術として期待され始めました。


2. ウィリアム・ショックレーの「半導体の電子と穴の理論」出版

●1950年に、ウィリアム・ショックレーが著書「Electrons and Holes in Semiconductors」(半導体の電子と正孔)を発表しました。
●これは、半導体物理学に関する最も重要な書籍の一つとされ、後の半導体デバイス設計に大きな影響を与えました。
●この本の理論的基盤が、その後のシリコン・ゲルマニウムを用いたトランジスタ開発を加速させる要因になりました。


3. ゲルマニウムトランジスタの開発

●1950年には、最初の商業用ゲルマニウムトランジスタが試作されました。
●まだ生産コストが高く、真空管ほどの性能には達していませんでしたが、ラジオや補聴器の小型化に貢献する可能性が示されました。
●主な研究機関として、ベル研究所のほか、RCAやGE(ゼネラル・エレクトリック)なども半導体技術に注目し始めました。


4. コンピューター技術への影響

●1950年は、まだコンピューターには真空管が使用されていましたが、トランジスタ技術の発展が計算機の小型化につながる可能性が議論されていました。
●トランジスタが実際にコンピューターに搭載されるのは1950年代後半になりますが、この時点で電子工学の分野では半導体の可能性が広く認識され始めました。


1950年の半導体技術の重要なポイント

✅トランジスタの理論と技術の確立が進む(商業化の準備段階)。
✅ショックレーの「半導体の電子と穴の理論」が出版され、半導体物理学の基礎を確立。
✅ゲルマニウムトランジスタの試作が始まり、実用化への第一歩を踏み出す。
✅コンピューター業界では、半導体技術の応用可能性が議論されるようになった。


まとめ

1950年は、半導体産業が本格的に発展し始める直前の「準備期間」の年でした。
トランジスタ技術が理論的に確立され、研究開発が進むことで、1950年代後半から1960年代にかけての急速な半導体産業の成長につながりました。

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