TOP > 半導体年表 > 1973年の半導体産業・技術分野の重要な動向

1973年の半導体産業・技術分野の重要な動向

1973年は、マイクロプロセッサ技術の発展、メモリ市場の拡大、半導体製造技術の進化が進んだ年でした。特に、Intel 8080の開発、DRAM技術の進歩、CCD(電荷結合素子)の商用化、LSI技術の発展、日本の半導体産業の成長が重要な出来事として挙げられます。


1. Intel 8080の開発開始

1973年、Intelは8ビットマイクロプロセッサ「Intel 8080」の開発を開始しました。前年に発表されたIntel 8008(世界初の8ビットMPU)の後継となるもので、翌1974年に正式に発表されました。

Intel 8080の特徴(1974年発表時点)
●トランジスタ数:約6,000個(Intel 8008の約1.7倍)
●クロック周波数:最大2MHz
●アドレス可能なメモリ:64KB
●命令セットが強化され、より多くのアプリケーションに対応可能

開発の背景
●Intel 8008は設計上の制約が多く、実用性に課題があった。
●市場から、より高性能なプロセッサの需要が高まっていた。

Intel 8080は、初期のパーソナルコンピュータ(Altair 8800)に搭載され、MPU市場の拡大に大きく貢献しました。

ポイント
Intel 8080の開発が始まり、パーソナルコンピュータ時代の基盤が築かれた。


2. DRAM技術の進展とメモリ市場の拡大

1973年には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)技術がさらに進化し、1KビットDRAM(Intel 1103)の後継製品が登場しました。

主な進展
●米国のIntel、Mostek、アメリカン・マイクロシステムズ(AMI)などがDRAMの開発を強化
●日本のNEC、日立製作所、東芝がメモリ技術の研究を加速
●コスト削減と高集積化が進み、DRAMの普及が加速

特に、Mostekは「アドレスマルチプレクス技術」を開発し、ピン数を削減しつつメモリの効率を向上させる手法を確立しました。この技術は、後のDRAM設計の標準となり、大容量メモリの実現を後押ししました。

ポイント
DRAMの進化により、メモリ市場が成長し、大型コンピュータや組み込みシステムの性能向上が進んだ。


3. CCD(電荷結合素子)の商用化

1973年には、CCD(Charge-Coupled Device、電荷結合素子)が商業化され、画像処理技術の発展に寄与しました。CCDは1969年にベル研究所で発明され、1973年に初めて商業用途に採用されました。

CCDの特徴
●光を電荷に変換し、デジタル信号として処理できる
●アナログ映像のデジタル変換が可能
●電子カメラやセンサー技術に応用

初期の用途
●天文学(天体観測用の高感度センサー)
●監視カメラ(防犯用途)
●画像処理(医療診断機器など)

CCDの登場により、後のデジタルカメラ、医療画像処理、監視技術の発展が加速しました。

ポイント
CCDの商用化が始まり、デジタルイメージング技術の基盤が築かれた。


4. LSI(大規模集積回路)技術の進展

1973年は、LSI(Large Scale Integration、大規模集積回路)技術の進歩により、ICの集積度が飛躍的に向上した年でもありました。

LSI技術の進展
●トランジスタ集積数が10,000個を超えるICが登場
●MOS LSIが主流となり、デジタル機器の小型化が進む
●設計ツールやCAD技術が向上し、IC開発の効率が向上

LSIの発展により、電卓、電子時計、通信機器などが小型化・低価格化し、消費者向け電子機器の市場が拡大しました。

ポイント
LSI技術の進歩が、電子機器の高性能化と小型化を促進した。


5. 日本の半導体産業の成長

1973年は、日本の半導体産業がさらに発展した年であり、特にDRAMやMOS ICの開発が加速しました。

日本企業の動向
●シャープが電卓向けMOS LSIの開発を加速
●NEC、東芝、日立製作所がDRAM市場に参入
●通商産業省(現・経済産業省)が半導体産業を支援

また、日本の企業は、高品質な半導体製造技術を確立し、歩留まりを向上させることで、国際競争力を高めました。この時期に蓄積された技術力が、後の1980年代の日本の半導体産業の躍進につながりました。

ポイント
日本の半導体企業が成長し、国際市場での競争力を高める基盤を築いた。


6. 半導体製造技術の進化

1973年には、半導体製造技術が大きく進歩し、微細加工技術の向上が進みました。

主な技術革新
●フォトリソグラフィ技術の高精度化
●イオン注入技術の発展
●クリーンルーム技術の改良により、生産効率の向上

これにより、半導体デバイスの性能向上とコスト削減が加速し、大量生産が可能になりました。

ポイント
半導体製造技術の進化により、ICの高性能化と量産化が進んだ。


まとめ

✅ Intelが「Intel 8080」の開発を開始し、マイクロプロセッサの進化が進んだ。
✅ DRAM技術が進展し、メモリ市場が拡大した。
✅ CCD(電荷結合素子)が商用化され、デジタルイメージング技術の発展が始まった。
✅ LSI技術の向上により、電子機器の小型化・高性能化が進んだ。
✅ 日本の半導体産業が成長し、国際競争力を高めた。
✅ 半導体製造技術の進化により、大量生産が可能になった。

1973年は、マイクロプロセッサの進化、DRAMの普及、CCDの商用化が進み、半導体産業のさらなる成長の基盤が築かれた年だった。





[オススメ記事]1974年の半導体産業・技術分野の重要な動向
[オススメ記事]1972年の半導体産業・技術分野の重要な動向