TOP > 半導体年表 > 2010年の半導体産業・技術分野の重要な動向
2010年の半導体業界は、世界経済の回復による市場成長、32nm/28nmプロセス技術の本格導入、スマートフォン市場の急成長、DRAM市場の競争激化とDDR3の完全移行、NANDフラッシュとSSDの普及拡大、GPUコンピューティングの進化、日本企業の統合と競争力強化といった重要な動きがありました。
特に、スマートフォンとタブレットの普及が進み、モバイル向け半導体の需要が急拡大した年でもあります。
1. 世界経済の回復と半導体市場の成長
主要な動向
2008年のリーマン・ショックによる影響からの回復が進み、2010年は半導体市場が急成長した年でした。
- SIA(Semiconductor Industry Association)の発表によると、2010年の半導体売上は前年比31.8%増の2,980億ドルに達し、過去最高を記録。
- PC市場の成長が続き、特にノートPCやネットブックの需要が拡大。
- スマートフォン市場の爆発的な成長が、モバイル向け半導体の需要を大幅に押し上げる。
- 中国市場が急成長し、半導体消費の世界最大の国としての地位を確立。
影響
- 半導体メーカーの業績が好転し、設備投資を増強。
- 新興市場(中国・インド・東南アジア)向けの半導体製品が増加。
- スマートフォンの普及により、PC向け半導体市場との競争構造が変化。
2. 32nm/28nmプロセス技術の本格導入
主要な動向
2010年は、32nmおよび28nmプロセス技術が本格的に導入され、半導体の微細化がさらに進んだ年でした。
- Intelが32nmプロセスを採用した「Westmere」世代のCore iシリーズを発表。
- AMDがTSMCの32nmプロセスを活用し、「Phenom II」および「Fusion APU」シリーズを展開。
- TSMCとSamsungが28nmプロセスの量産準備を開始。
- FinFET技術の研究開発が進み、次世代の微細化技術への移行が準備される。
影響
- 半導体の消費電力が削減され、モバイルデバイスの性能向上が進む。
- プロセッサの動作クロックが向上し、処理性能が向上。
- ファウンドリ企業の技術力向上により、ファブレス企業の成長が加速。
3. スマートフォン市場の急成長
主要な動向
2010年は、スマートフォン市場が急成長し、モバイル向け半導体の需要が急増した年でした。
- Appleが「iPhone 4」を発表し、スマートフォンの高性能化が進む。
- GoogleがAndroid OSの普及を推進し、SamsungやHTCなどがAndroidスマートフォンを拡大。
- ARMアーキテクチャを採用したモバイルプロセッサ(Qualcomm Snapdragon、Apple A4、Samsung Exynosなど)が成長。
- NVIDIAがモバイル向け「Tegra 2」を発表し、スマートフォン・タブレット市場に本格参入。
影響
- PC市場に対し、スマートフォン・タブレット市場が新たな競争相手となる。
- x86アーキテクチャ(Intel・AMD)とARMアーキテクチャの競争が本格化。
- 半導体メーカーがモバイル向け製品に注力し、低消費電力設計が進化。
4. DRAM市場の競争激化とDDR3の完全移行
主要な動向
2010年は、DRAM市場での競争が激化し、DDR3 SDRAMが完全に主流となった年でした。
- PC市場の成長に伴い、DRAMの需要が増加。
- DDR3 SDRAMが標準規格となり、DDR2の生産はほぼ終了。
- サムスン電子、SK Hynix、Micron Technologyが市場シェアを拡大し、Elpida(エルピーダメモリ)が苦境に立たされる。
影響
- PCの標準メモリ容量が4GB以上に達し、マルチタスク環境が改善。
- DRAM価格の変動が大きくなり、業界の統合が進む。
5. NANDフラッシュとSSDの普及拡大
主要な動向
2010年は、NANDフラッシュメモリ市場が急成長し、SSD(ソリッドステートドライブ)の普及が進んだ年でした。
- AppleがiPadを発表し、タブレット市場が拡大。
- ノートPC市場でSSD搭載モデルが増加し、HDDからの置き換えが進む。
- サムスン電子、東芝、SanDiskがNANDフラッシュ市場での競争を強化。
影響
- モバイルデバイスのストレージ容量が増加し、ユーザー体験が向上。
- SSDの市場成長により、高速ストレージの時代が到来。
6. 日本の半導体産業の統合と競争力強化
主要な動向
2010年は、日本の半導体産業において、さらなる統合と競争力強化が進んだ年でした。
- NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが統合し、「ルネサスエレクトロニクス」として新会社を発足。
- エルピーダメモリが経営危機に陥り、再建策を模索。
影響
- 日本の半導体メーカーが統合を進め、事業の効率化を図る。
- 日本の半導体産業がシステムLSI分野で競争力を強化。
まとめ
2010年は、世界経済の回復と次世代技術の導入が進んだ年でした。主な動向は以下の通りです。
✅金融危機からの回復により、半導体市場が過去最高の売上を記録。
✅32nm/28nmプロセス技術の導入と微細化競争の加速。
✅スマートフォン市場の急成長とモバイル半導体の拡大。
✅DRAM市場の競争激化とDDR3の完全移行。
✅NANDフラッシュとSSD市場の急成長。
✅日本の半導体産業の統合と競争力強化。
2010年は、スマートフォン時代の本格到来とモバイル市場の急成長により、半導体業界の勢力図が大きく変化した年となりました。
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