TOP > 半導体年表 > 1999年の半導体産業・技術分野の重要な動向
1999年の半導体業界は、PC市場の拡大、マイクロプロセッサ競争の激化、DRAM市場の回復、ファウンドリ産業のさらなる成長、日本企業の再編、インターネット需要の拡大といった重要な変化がありました。特に、インターネットの普及に伴う半導体需要の増加が、業界全体の回復を牽引しました。
1. PC市場の拡大とマイクロプロセッサ競争の激化
主要な動向
1999年は、PC市場が大きく拡大し、それに伴いマイクロプロセッサの需要が急増した年でした。
- IntelがPentium IIIを発表し、PC市場でのリーダーシップを維持。
- SSE(Streaming SIMD Extensions)を導入し、マルチメディア処理能力を向上。
- クロック速度は450MHzからスタートし、後に1GHzに到達。
- AMDがAthlon(K7)を発表し、x86市場でIntelと本格的に競争。
- Athlonは高性能なFPUを備え、ゲームやグラフィックス用途で優位に立つ。
- AMDが初めて1GHzのクロック速度を達成し、話題となる(2000年)。
- AppleがPowerPC G4を発表し、RISCアーキテクチャを強化。
- ベクトル演算機能「AltiVec」を導入し、映像編集や3Dグラフィックス分野で強みを発揮。
影響
- PCの処理能力が向上し、インターネットやマルチメディア用途の需要が増加。
- AMDがIntelの独占に挑戦し、CPU市場の競争が激化。
- サーバー市場でもIntelのXeonとRISC系プロセッサの競争が加速。
2. DRAM市場の回復と技術革新
主要な動向
1999年は、DRAM価格が底を打ち、市場が回復傾向に入った年でした。
- PC市場の拡大により、メモリ需要が増加し、価格が安定。
- 128Mbit DRAMの量産が本格化し、PCのメモリ容量が急増。
- 日本企業がDRAM事業を縮小し、韓国・台湾が主導権を握る構図が確立。
- DDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)の導入が進み、高速メモリ技術が発展。
影響
- PCの標準メモリ容量が128MB以上に増加し、アプリケーションの性能向上が進む。
- サムスン電子がDRAM市場でリーダーシップを確立し、日本企業との競争が終焉に向かう。
- DDR SDRAMの採用により、グラフィックスカードやゲーム用途の性能向上が実現。
3. ファウンドリ産業の成長と台湾の影響力拡大
主要な動向
1999年は、ファウンドリ産業が大きく成長し、台湾の影響力がさらに強まった年でした。
- TSMC(台湾積体電路製造)が0.18μmプロセス技術の量産を開始。
- UMC(聯華電子)も0.18μmプロセスを導入し、米国のファブレス企業との連携を強化。
- 中国が半導体産業への投資を加速し、将来の競争に備える。
影響
- ファブレス企業(NVIDIA、Broadcom、Qualcommなど)が急成長し、半導体設計と製造の分業が進む。
- 台湾が半導体製造の拠点として確立され、米国企業との連携が強化。
- 日本企業が台湾ファウンドリの活用を模索し、製造コストの削減を図る。
4. インターネットと通信機器向け半導体市場の成長
主要な動向
1999年は、インターネットの急速な普及により、通信機器向け半導体市場が成長しました。
- ブロードバンドインフラの拡大により、ネットワーク機器の需要が急増。
- ルーター、スイッチ、モデム向けのASIC(特定用途向け集積回路)が成長。
- Wi-Fi(802.11b)の普及が始まり、無線通信向け半導体の市場が拡大。
- NVIDIAがGeForce 256を発表し、3Dグラフィックスの性能が飛躍的に向上。
影響
- ネットワーク機器向けの半導体市場が拡大し、新たな成長分野として注目される。
- ワイヤレス通信の発展により、モバイル市場の成長が加速。
- グラフィックス市場の進化が進み、PCゲームやマルチメディア市場が拡大。
5. 日本の半導体産業の再編
主要な動向
1999年は、日本の半導体産業にとって再編が進んだ年でした。
- 日立製作所とNECがDRAM事業を統合し、「エルピーダメモリ」を設立(2000年正式設立)。
- DRAM事業の統合により、日本のメモリ業界の生き残り戦略が模索される。
- ソニー、東芝、富士通などがシステムLSI(大規模集積回路)に注力し、事業の方向性を転換。
影響
- 日本の半導体産業がメモリからシステムLSIへとシフトし、新たな成長戦略を模索。
- NEC、日立、三菱電機の再編が進み、競争力の向上が図られる。
まとめ
1999年の半導体業界は、市場の回復と新技術の導入が進んだ年でした。主な動向は以下の通りです。
1. PC市場の拡大とマイクロプロセッサ競争の激化
→ IntelとAMDの競争が本格化し、PCの性能向上が進む。
2. DRAM市場の回復と技術革新
→ 128Mbit DRAMの量産とDDR SDRAMの導入が進む。
3. ファウンドリ産業の成長と台湾の影響力拡大
→ 0.18μmプロセス技術の導入が進み、台湾が半導体製造の中心地として確立。
4. インターネットと通信機器向け半導体市場の成長
→ ネットワーク機器、Wi-Fi、グラフィックス市場が拡大。
5. 日本の半導体産業の再編
→ エルピーダメモリの設立準備が進み、システムLSIへのシフトが本格化。
1999年は、PC、インターネット、ワイヤレス通信の成長が半導体市場を牽引し、新たな競争環境が形成された年となりました。
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