TOP > 半導体技術・産業動向の教養 > 携帯電話・スマホの台頭
1990年代後半までは、パソコンやAV機器などが半導体需要や半導体の高性能化を牽引していました。1990年代後半からは、これらに新顔が加わります。その新顔とは携帯電話とその基地局です。
携帯電話が一般の人の手に広く行き渡るようになったのは、1993年頃のことです。
その後、携帯電話サービスの進化とともに、端末の機能や性能も格段にグレードアツプしていきます。携帯電話サービスの進化の具体例としては、NTTドコモが1999年に開始した携帯電話向けインターネット接続サービス「iモード」が挙げられます。iモードは、従来はパソコンでしかできなかつたインターネット接続を携帯電話の端末でも可能にしました。
2000年代に入ると、携帯電話にさまざまな機能が追加されていきます。例えば赤外線通信機能や電子マネー機能、カメラ機能などです。いわゆる「ガラパゴス携帯(ガラケー)」に向けた進化が加速していきました。そして2000年代後半から、日本における携帯電話の主役はガラケーからスマートフォンヘと移り変わっていきます。その結果、モバイルでのインターネット接続の環境が大きく進化を遂げ、パソコン時代から始まっていたSNS (Social Networking Service)や動画配信サービスなどが発展しました。このほか、LINE通話やメッセンジャーなど、電話回線ではなくインターネット回線を利用した通話サービスもユーザーの間に浸透していきました。
このようにスマートフォンを含む携帯電話の端末そのものと、携帯電話サービスの両方が進化したことで、2022年現在ではスマートフォンで動画を見たり、SNSを介して画像をアップしたりできるようになったのです。その結果、携帯電話のユーザーは急速に増加しました。例えば、スマートフォンは2021年に全世界で13億5000万台も出荷されました。日本国内だけ見ても、携帯電話サービスの契約回線数は1997年頃には2000万回線程度でしたが、2022年には2億回線に迫ろうとしています。携帯電話(スマートフォン)は、もはや個人が1台当たり前に持つ時代になったのです。
これだけ携帯電話が進化すれば、使われる半導体の個数は増え、求められる性能も高まります。例えば、1997年頃の携帯電話に使われていた半導体の総額は端末1台あたり1万円程度でしたが、現在のスマートフォンには1台あたり4万円を超える額の半導体が使われています。当時に比べると半導体の単価は大幅に低下していますので、いかに高性能な半導体が1台あたりに数多く使われているかが分かると思います。
携帯電話からスマートフォンに移り変わる過程で、さまざまな半導体が新規に搭載され、その出荷個数を伸ばしました。例えば、当初の携帯電話からガラケーヘと進化する過程では、DSPや赤外線センサ、電子マネー用IC、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ、米国クアルコムなどの3G対応の通信用IC、データ格納用NOR型フラッシュメモリなどが搭載されました。また同時期に基地局ではFPGA(Field Programmable Gate Array)が採用されるようになり、FPGA市場が急成長したのです。
その後、ガラケーからスマートフォンに移り変わる過程では、NOR型フラッシュメモリが、NAND型フラッシュメモリとDRAMの組み合わせに置き換えられました。またNAND型フラッシュメモリは、画像や音楽などのデータ格納メモリとして大量に使われるようになり、市場は急拡大していきます。
スマートフォンを含む携帯電話の出荷台数、そして端末そのものに使われる半導体の個数が増えたことによって、半導体需要は大幅に伸びました。さらに携帯電話市場の拡大は、通信インフラ(基地局など)や、データセンターに設置するサーバーや記憶装置などでの半導体需要を押し上げます。つまり携帯電話端末そのものだけでなく、通信インフラとデータセンターを含めた「携帯電話システム」が半導体需要の新しい牽引役になったのです。
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