TOP > 半導体技術・産業動向の教養 > 成長し続ける半導体市場
現在、半導体市場はとても大きくなっています。実際に数字を見てみると2021年の世界における半導体の売上は過去最高の5559億ドル(SIA発表)、日本円に換算するとおよそ72兆円にものばります。そのうえ、半導体市場は今後も高い成長率で伸びていくと考えられています。1970年代から半導体業界の動向を予測している世界半導体市場統計(WSTS)の2022年の春季予測では、2022年の売上は6465億ドルほどになるといわれ、今もなお1年で10%近い成長を続けています。2022年現在、これほど大きな売上にもかかわらず、10%を超える成長を果たしている市場はほかにはありません。IT市場も好調であるといわれていますが、伸び率は2〜3%といったところです。IT業界は半導体業界と深い関わりのある業界であり、IT業界の成長が半導体業界の成長に影響を与えますが、半導体市場はそれをさらに上回る成長率で伸び続けているのです。このままの成長率が続けば2030年には1兆ドル規模になるといわれています。
また、使用分野としてはこれまでの市場シェアどおりコンピュータや通信が大きいのですが、近年では自動車向けの半導体が伸びています。
半導体市場がこれほどまでに活況な理由は、半導体の需要が今も伸び続けているからです。半導体はこれまでラジオをはじめ、テレビやビデオなどのAV機器、パソコン、そして携帯電話やスマートフォンなどの需要によって市場を拡大してきました。半導体を使った電子機器が開発され、それが世界で爆発的に売れることで、結果として半導体の需要が増え売上を伸ばしてきたのです。
半導体が売れるためには、半導体を使った電子機器が世界中に急速に広まっていく必要がありました。市場の伸び率というのは、その名前のとおり「前年と比較した伸び」を表します。半導体市場がここまで継続的に伸びてきたのは、半導体を必要とする新たな電子機器が次々と開発され、需要が増え続けたからなのです。しかし、例えば日本における近年のスマートフォンのように電子機器を必要とする人たちほぼすべてに行き渡り、買い換えによる需要のみが残るような状態では、市場は大きく伸びません。新しい電子機器が開発されて爆発的に売れたとしても、それが市場に行き渡ってしまえば伸びは止まってしまうのです。
もちろんインドやアフリカなど、人口が多い地域においてはまだまだ国民全体に行き渡っていないところも存在しています。しかし社会的なインフラの整備などの課題があるため、こういった地域で買い換えによってAV機器やパソコンなど電子機器の需要が爆発的に伸びるまでには、まだしばらくの時間が必要です。そうなると半導体を使用したこれらの電子機器の需要は、世界的に見てもすでに一段落したといっていいでしよう。
つまり今の世界は、半導体需要を劇的に引き上げる象徴的な新しい電子機器が存在していない状態を迎えています。経済誌などの誌面においても「次に半導体市場を牽引するのは、どの業界か?」といった話題が語られるケースも少なくありませんが、半導体を必要とする新しく画期的な電子機器は、今のところ登場していないのです。そのため、今後の半導体市場を不安視する人がいるのも事実でしょう。
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