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1920年代の半導体産業・技術分野の重要な動向

1920年代は、半導体技術がまだ黎明期にあり、現代のような半導体デバイスは存在していませんでした。しかし、この時期には半導体物質の研究や、後の技術革新につながる重要な基礎的発見が進んでいました。以下に、その動向を詳しく解説します。


1. 固体物理学の発展

1920年代は、半導体の基本的な特性を説明するための固体物理学が発展していた時期でした。この時期の研究成果は、後の半導体理論の基礎を築くことになります。

結晶構造と電子の振る舞いの研究
●金属と絶縁体の違いが物理的に理解され始めており、導体・絶縁体・半導体の概念が明確になりつつありました。
●半導体がなぜ特定の条件下で導電性を示すのかというバンド理論の基礎的な研究が進められていました。

量子力学の萌芽
●1920年代初頭は、量子力学が誕生しつつあった時期です。1921年には、アルベルト・アインシュタインがブラウン運動と熱力学に関する研究を進めていました。
●これらの研究は、後に電子のエネルギーバンド構造を解明するのに役立ちます。


2. 鉱石検波器(半導体ダイオードの前身)の研究

1920年代初頭には、無線通信技術が急速に発展しており、その中で半導体の基礎技術に関わる鉱石検波器が広く使われていました。

鉱石検波器の改良
●鉱石検波器(Crystal Detector)は、天然の鉱石(ガレナ鉱石=硫化鉛など)を使った検波素子で、電波を検出する役割を果たしていました。
●この時期、より効率の良い鉱石を選定するための実験が進められており、銅酸化物やシリコン鉱石のような材料の可能性も検討されていました。
●これが後に、半導体ダイオードの発展につながります。


3. ラジオ技術の発展と半導体の役割

1920年代は、ラジオ放送が本格化した時期であり、それに伴って無線通信機器が広く普及し始めました。

ラジオ放送の開始
●1920年にアメリカのKDKA(ピッツバーグ)で世界初のラジオ放送が開始され、1921年にはラジオの商業利用が拡大しました。
●ラジオ受信機の普及により、鉱石検波器(半導体材料を使用)の需要が急増しました。
●これにより、半導体材料としてのガレナ(硫化鉛)や他の鉱石の研究が進められることになります。

鉱石検波器から真空管への移行
●1921年頃には、真空管が徐々に鉱石検波器を置き換え始めていました。
●ただし、鉱石検波器は電源が不要で安価だったため、一部の用途では継続して使用されました。
●この後の半導体技術の発展は、「真空管の問題点を解決するための技術」としての流れを持つことになります。


4. 半導体材料の研究

1920年代初頭には、半導体という言葉自体はまだ一般的ではありませんでしたが、特定の材料が電気を伝導する特性に関する研究が進んでいました。

銅酸化物とシリコンの研究
●銅酸化物(Cu₂O)は、半導体的な性質を持つことが知られており、一部の研究者がその性質を調査していました。
●シリコンやゲルマニウムの特性についても、金属とは異なる電気的挙動が観察されていました。
●これらの材料の研究は、後にトランジスタや半導体ダイオードの開発へとつながります。


5. 近代的な半導体研究への橋渡し

1921年の時点では、現在のような半導体産業はまだ存在していませんでしたが、以下のような重要な流れが見られました。

1. 固体物理学の進展
- 電子の振る舞いや結晶構造の研究が進む。
- 量子力学の基礎が構築され始める。

2. 鉱石検波器の発展
- ラジオ技術の発展により、鉱石検波器(半導体の原型)の研究が進む。
- 天然鉱石(ガレナ、銅酸化物など)の電気的性質の研究。

3. ラジオの普及
- 商業ラジオ放送が開始され、受信機の需要が増加。
- 鉱石検波器から真空管への移行が始まる。

4. 半導体材料の基礎研究
- シリコンやゲルマニウム、銅酸化物などの電気特性が研究される。


まとめ

1920年代の半導体産業・技術分野の動向は、基礎的な物理学の進展と鉱石検波器を中心とした研究が進んでいた時期と言えます。

●固体物理学や量子力学の発展が、半導体理論の基礎を築く。
●鉱石検波器がラジオの普及とともに発展し、半導体材料の研究が進む。
●ラジオ技術の進展により、真空管技術との競争が始まる。
●シリコンや銅酸化物などの材料研究が進み、後の半導体デバイスにつながる。

この時期の研究が、1940年代のトランジスタ発明へとつながり、半導体産業の礎を築くことになりました。




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