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1996年の半導体産業・技術分野における重要な動向をまとめます。
1. DRAM市場の変動
1996年はDRAM(Dynamic Random Access Memory)市場が大きな影響を受けた年でした。特に、16Mbit DRAMの価格暴落が発生し、半導体メーカーの収益に大きな打撃を与えました。この価格下落は、過剰生産と需要の鈍化によるもので、半導体業界全体の成長を一時的に停滞させました。
また、64Mbit DRAMの開発・量産化が進んでおり、各メーカーが次世代メモリ市場をめぐって競争を激化させました。
2. インテルのPentium Pro登場
インテルは1995年末にPentium Proを発表し、1996年には本格的な市場展開が行われました。Pentium ProはP6マイクロアーキテクチャを採用し、特にサーバーやワークステーション向けに高い性能を発揮しました。
主な特徴
●アウト・オブ・オーダー実行(Out-of-Order Execution)の導入
●256KB~1MBのL2キャッシュをプロセッサパッケージ内に統合
●RISCライクな内部構造による高効率な命令処理
このプロセッサは、後のIntel Xeonシリーズの基盤となる技術を確立しました。
3. AMDとCyrixの競争
1996年は、インテル以外のx86プロセッサメーカーも活発に動きました。
●AMD K5:インテルのPentiumに対抗するプロセッサで、1996年に本格的に市場投入。しかし、性能と消費電力の問題から市場で苦戦しました。
●Cyrix 6x86:Pentiumと互換性を持ちつつ、整数演算性能では上回る設計が特徴。価格競争力を武器に市場シェアを伸ばしました。
これにより、1990年代後半のx86市場において、競争が激化しました。
4. モバイル向けプロセッサの進展
1996年は、ノートPC市場が拡大し、低消費電力のプロセッサが注目されました。
●インテルはPentium MMX(1997年初頭発売)の準備を進めており、マルチメディア処理の強化を図りました。
●Transmeta(1995年設立)が、低消費電力CPUの開発に着手し、後のCrusoeプロセッサにつながる技術を構築。
この時期の研究が、のちのモバイルプロセッサの発展に大きく貢献しました。
5. 半導体製造技術の進展
1996年には、半導体製造プロセスが0.35μm(350nm)ノードへ移行し、より微細な回路設計が可能になりました。これにより、以下の技術革新が進みました。
●より高集積・低消費電力のチップが可能に
●ASICやFPGAの性能向上
●フラッシュメモリ技術の進化(NAND型の普及)
また、300mmウェハー技術の研究が進行し、将来的な生産効率向上が期待されました。
6. 半導体メーカーの業界動向
●日米半導体協定の影響:1986年に締結された日米半導体協定の影響で、日本メーカーの市場シェアは低下し、米国や韓国(Samsung、LG)メーカーが台頭。
●台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が成長:ファウンドリ事業を拡大し、ファブレス半導体企業向けの製造を本格化。
●IBM、Motorola、AppleのPowerPC連合:PowerPCプロセッサの改良が進められ、Macintoshやワークステーション市場向けに強化。
まとめ
1996年は、半導体産業において以下の重要な変化が起こった年でした。
1. DRAM価格の暴落と64Mbit DRAMの台頭
2. Pentium Proの市場投入とハイエンド向けCPUの進化
3. AMD・Cyrixによるx86市場の競争激化
4. モバイル向け低消費電力プロセッサの進展
5. 0.35μmプロセス技術の普及と300mmウェハー研究
6. 台湾TSMCの成長と日米半導体協定の影響
この年の技術革新や市場動向は、後の2000年代の半導体業界の発展に大きな影響を与えました。
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