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1946年の半導体産業・技術分野の重要な動向

1946年は、半導体技術の歴史において重要な転換点の一つです。この時期、半導体はまだ実験室レベルの研究が中心でしたが、後のトランジスタ発明へとつながる基礎的な研究が進行していました。特に、半導体物理の理解が進み、真空管に代わる新しい電子デバイスの可能性が模索されていた時期でした。


1. 戦後の技術発展と半導体研究の進展

第二次世界大戦後の技術転換
●1945年に第二次世界大戦が終結し、アメリカを中心に軍事技術が民間利用へと転換し始めた。
●戦時中に発展したレーダー技術、通信技術、電子計算機技術が、戦後の半導体研究に影響を与えた。
●これにより、高周波回路や増幅素子の新しい材料として半導体が注目されるようになった。

半導体の理論研究が進む
●戦時中から続いていた固体物理学の研究が進み、半導体の電気的性質に関する理解が深まった。
●量子力学の進展により、半導体の電子構造の理論が整備され、半導体が持つ「整流作用」や「増幅作用」の理解が進んだ。


2. トランジスタ開発前夜:ベル研究所の動向

ベル研究所での半導体研究
●1946年、アメリカのベル研究所(Bell Labs)では、ウィリアム・ショックレー、ジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテンらが半導体の研究を加速。
●彼らはゲルマニウム(Ge)やシリコン(Si)を用いた半導体デバイスの開発を進めていた。
●特に、「半導体で増幅素子を作れるのではないか?」という仮説を立て、実験が進められた。
この研究が、1947年のトランジスタ発明につながることになる。

点接触型トランジスタの理論的基盤
●ショックレーらの研究によって、半導体の表面状態が電気特性に与える影響が明確になり、点接触型トランジスタの基礎理論が構築されつつあった。


3. ENIACの登場と電子計算機の発展

世界初の電子計算機「ENIAC」
●1946年2月14日、世界初の汎用電子計算機「ENIAC(Electronic Numerical Integrator and Computer)」がアメリカで正式に公開された。
●ENIACは約1万8000本の真空管を使用し、当時としては驚異的な計算速度を実現。
●しかし、消費電力が大きく、真空管の寿命が短いという問題があり、新しい技術が求められていた。

真空管から半導体へ
●ENIACの成功を受けて、電子計算機の高性能化・小型化の必要性が浮上。
●その中で、「半導体を使えば、真空管に代わる新しい電子素子が作れるのでは?」という発想が生まれ、半導体研究の意義が増した。


4. 半導体材料の研究:シリコン vs ゲルマニウム

ゲルマニウムの研究が進む
●1946年の時点で、半導体材料としてゲルマニウム(Ge)が注目されていた。
ゲルマニウムは、不純物制御が比較的容易で、当時の技術で扱いやすかったため。
●特に高純度ゲルマニウムの製造技術の研究が進行。

シリコンの可能性
●一方で、シリコン(Si)は耐熱性や安定性に優れるが、当時は高純度のシリコンを作る技術が確立されていなかった。
●この課題が解決されるのは、1950年代初頭になってから。
●そのため、1946年の時点では、ゲルマニウムがトランジスタ研究の主要材料として扱われていた。

5. 世界各国の半導体研究の動向


アメリカ
●ベル研究所が半導体研究の最前線。
●軍事関連の技術が民間転用される動きが強まりつつあった。

ドイツ
●第二次世界大戦後、ドイツの科学者がアメリカやソ連に技術移転。
●その結果、アメリカではナチス・ドイツ時代に進められた半導体研究の成果を分析し、独自の開発へとつなげた。

日本
●1946年の日本は、戦後復興の最中であり、半導体研究はほぼ行われていなかった。
●しかし、戦前から続いていたラジオ技術の知識が後に生かされ、1950年代にはソニー(東京通信工業)がアメリカから技術を学び、トランジスタラジオ開発に成功する。


まとめ

1946年の半導体技術の動向は、トランジスタ発明前夜の重要な基盤が築かれた時期でした。

✅ ベル研究所での半導体研究加速 → 1947年のトランジスタ発明につながる
✅ ENIAC登場で計算機の小型化・高性能化が求められる → 半導体技術の必要性が高まる
✅ ゲルマニウムが半導体材料として本格的に研究される → 1947年のトランジスタ開発へ
✅ シリコン半導体の可能性が認識されるが、技術的課題が残る
✅ 軍事技術の民間転用が進む → 半導体技術が軍事以外にも応用され始める

このように、1946年は「半導体研究が本格化し、トランジスタ発明へとつながる重要な転換期」として位置づけられます。





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