TOP > 半導体年表 > 1970年の半導体産業・技術分野の重要な動向
1970年は、半導体メモリ技術の進展、マイクロプロセッサ開発の準備、LSI(大規模集積回路)の進化が進んだ年でした。特に、Intelが世界初のDRAM(Dynamic RAM)を発表し、メモリ市場が本格的にスタートした年として、半導体産業において重要な節目となりました。
1. 世界初のDRAM(Dynamic RAM)の登場
1970年に、Intel(インテル)が世界初のDRAM「Intel 1103」を発表しました。
Intel 1103の特徴
- 1Kビット(1024ビット)の記憶容量
- 磁気コアメモリに代わる低コスト・高密度なメモリ
- MOSトランジスタ技術を活用し、低消費電力を実現
- データを動的にリフレッシュすることで、高集積化が可能に
このIntel 1103の登場により、DRAMが磁気コアメモリに取って代わるメモリ技術として注目され、以降のコンピュータ産業の発展に大きな影響を与えました。
ポイント
Intel 1103は、初めて商業的に成功したDRAMであり、後の半導体メモリ市場の急成長の基盤を築いた。
2. マイクロプロセッサ誕生の準備
1970年は、マイクロプロセッサ(MPU)の誕生に向けた技術開発が進んだ年でもありました。
- Intelが「4004」の開発を開始(1971年に発表)
- 4ビットマイクロプロセッサのコンセプトが確立
- 集積度の向上により、コンピュータの小型化・低コスト化が可能に
特に、Intelのテッド・ホフ(Ted Hoff)がMPUの設計コンセプトを確立し、マイクロプロセッサの基盤技術が整い始めました。
ポイント:
1970年は、翌年に登場する「Intel 4004」マイクロプロセッサの開発が本格化した年であり、コンピュータ技術の革命の前夜だった。
3. LSI(大規模集積回路)の進展
1970年は、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)が進化し、ICの集積度が飛躍的に向上しました。
LSIの進化のポイント
- トランジスタ数が1,000個を超えるICの実用化
- 計算機や家電製品へのICの搭載が加速
- MOS-LSIの開発が進み、将来のVLSI(超大規模集積回路)の基礎が確立
特に、LSI技術の発展により、コンピュータ、通信機器、電子計算機の小型化と低コスト化が急速に進展しました。
ポイント
1970年のLSI技術の進化が、1970年代後半のVLSI(超大規模集積回路)への発展につながる。
4. 日本の半導体産業の成長
1970年には、日本の半導体産業も成長を加速させ、世界市場での競争力を高めていきました。
日本企業の主な動向
- NEC、日立製作所、東芝、三菱電機がLSI技術の研究開発を推進
- シャープがMOS ICを活用した電卓の開発を加速
- 通産省(現・経済産業省)が半導体産業の育成政策を強化
特に、日本企業はMOS-LSI技術の開発に力を入れ、家電や電卓向けIC市場で競争力を高めていった。
ポイント
1970年は、日本の半導体企業が本格的にMOS IC技術の開発に取り組み、世界市場に進出する準備を進めた年だった。
5. CMOS技術の進化
1970年は、CMOS(Complementary MOS)技術の研究が進み、低消費電力ICの可能性が広がった年でもありました。
CMOSの利点
- 低消費電力であり、バッテリー駆動のデバイスに適用可能
- 高集積化が可能であり、将来のVLSIに適応
- 耐ノイズ性が向上し、信頼性が高い
この時点ではまだ本格的な商用化には至っていませんでしたが、1970年代後半以降、CMOS技術はデジタル時計や携帯機器などに広く採用されていきました。
ポイント
CMOS技術の進展が、1980年代のモバイルデバイス革命の基盤を作った。
6. 半導体製造技術の進化
1970年は、半導体の製造技術がさらに進化し、高集積度・低コスト化が進んだ年でした。
製造技術の進展
- フォトリソグラフィ技術の向上により、微細加工技術が進化
- イオン注入技術の改良により、半導体デバイスの特性を制御
- エピタキシャル成長技術の発展により、高品質なシリコンウェーハの供給が増加
これらの製造技術の進化により、半導体の生産効率が向上し、ICの価格が下がることで市場が拡大しました。
ポイント
1970年は、半導体の製造技術の進化により、大量生産とコスト削減が可能になり、市場拡大の基盤が整った年だった。
7. 軍事・宇宙分野での半導体活用
1970年には、軍事や宇宙開発分野における半導体技術の活用が進みました。
主な動向
- NASAが宇宙開発プロジェクトで半導体ICを本格活用
- 米軍が電子兵器システムや通信機器にICを採用
- DARPA(国防高等研究計画局)が半導体技術の研究開発を支援
この軍事・宇宙分野での技術開発が、後の民生用コンピュータや通信機器の発展を促進しました。
ポイント
半導体技術の軍事・宇宙分野での応用が、民生市場の技術革新につながった。
まとめ
✅ Intelが世界初のDRAM「1103」を発表し、半導体メモリ市場の幕開けとなった。
✅ マイクロプロセッサ(MPU)の開発が進み、翌年の「Intel 4004」発表へとつながった。
✅ LSI技術が発展し、ICの高集積化が進んだ。
✅ 日本の半導体産業がMOS IC市場に本格参入し、競争力を高めた。
✅ CMOS技術の研究が進み、低消費電力ICの基盤が整った。
✅ 半導体の製造技術が向上し、微細加工技術や大量生産が可能になった。
✅ 軍事・宇宙分野での半導体利用が進み、民生市場の技術革新を促した。
1970年は、半導体メモリ市場の誕生とマイクロプロセッサ開発の転換点となった年だった。
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