TOP > 半導体年表 > 1978年の半導体産業・技術分野の重要な動向
1978年は、16ビットマイクロプロセッサの登場、DRAMの大容量化、MOS技術の進化、日本の半導体産業の成長、半導体製造技術の進展といった重要な出来事がありました。特に、Intel 8086の発表、64K DRAMの開発、CMOS技術の研究進展、日本企業の競争力強化が注目されます。
1. Intel 8086の発表と16ビットマイクロプロセッサ時代の到来
x86アーキテクチャの誕生
1978年6月、Intelが16ビットマイクロプロセッサ「8086」を発表しました。このCPUは、後にPC市場を支配するx86アーキテクチャの基礎となり、コンピュータの進化に大きな影響を与えました。
Intel 8086の特徴
●16ビットアーキテクチャ
●最大1MBのメモリ空間をサポート
●クロック周波数:5MHz
●多くの8ビット周辺機器と互換性を持つ
●複雑な命令セット(CISCアーキテクチャ)を採用
当初、Intel 8086は市場にすぐに普及しませんでしたが、1981年にIBMがIBM PCの開発で採用したIntel 8088(8086の8ビットバス版)の成功によって、x86アーキテクチャが業界標準として確立されることになります。
ポイント
Intel 8086が発表され、x86アーキテクチャが誕生した。
2. 64K DRAMの開発とメモリ技術の進化
大容量化が進むDRAM
1978年は、半導体メモリ技術の進化により、64K DRAM(Dynamic Random-Access Memory)の開発が本格化しました。これは、1970年代初頭の1K DRAMや4K DRAMと比べ、飛躍的に容量が増加したことを意味します。
64K DRAMの特徴
●従来の16K DRAMの4倍の容量
●高集積化により、消費電力が抑えられる
●パーソナルコンピュータやワークステーションの性能向上に貢献
特に、IBM、NEC、日立、富士通、東芝などの企業が64K DRAMの開発を進め、翌年以降の本格的な市場投入に向けて競争を開始しました。
ポイント
64K DRAMの開発が進み、メモリの大容量化が加速した。
3. CMOS技術の進展と低消費電力デバイスの発展
MOS技術のさらなる発展
1978年には、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)技術の研究開発が進み、低消費電力のICの実用化が進んだ年でした。
CMOS技術のメリット
●従来のNMOS・PMOSよりも消費電力が低い
●高い集積度を実現
●低発熱であり、省電力デバイスに適している
当時の半導体産業では、NMOS技術が主流でしたが、CMOSの技術開発が進んだことで、1980年代以降、バッテリー駆動のポータブル機器や高効率のデジタル回路において、CMOSが主流となる基盤が築かれました。
ポイント
CMOS技術の進展により、低消費電力デバイスの開発が加速した。
4. 日本の半導体産業の成長と世界市場での競争力強化
国際市場での存在感の拡大
1978年には、日本の半導体企業が国際市場での競争力をさらに強化し、メモリ市場やマイクロプロセッサ市場において、アメリカ企業との競争が本格化しました。
日本企業の主な動向
●NECがマイクロコンピュータ「μCOMシリーズ」の開発を進める
●日立製作所が高性能LSIの研究を強化
●東芝がDRAMの大容量化技術を推進
●富士通がメインフレーム向けプロセッサ開発を進める
また、通商産業省(現・経済産業省)は、日本の半導体技術の国際競争力を向上させるために、国家レベルでの技術開発支援を推進しました。この結果、1980年代には日本企業がDRAM市場で世界シェアの大部分を占めるようになります。
ポイント
日本の半導体産業が急成長し、アメリカ市場での競争力を強化した。
5. 半導体製造技術の進展と微細加工技術の向上
プロセス技術の微細化
1978年には、半導体製造技術の微細化が進み、プロセスルールが3μm(3000nm)以下に到達しました。これにより、高集積化が進み、トランジスタの密度が向上しました。
主な製造技術の進展
●フォトリソグラフィ技術の向上
●エッチング技術の精度向上
●プラズマCVD(化学気相成長法)の研究進展
これにより、マイクロプロセッサやDRAMの集積度が向上し、1970年代後半から1980年代にかけて、さらに高性能な半導体製品が登場する基盤が整いました。
ポイント
半導体の微細加工技術が進化し、3μmプロセスが実用化された。
まとめ
✅ Intel 8086の発表により、x86アーキテクチャが誕生。
✅ 64K DRAMの開発が進み、メモリの大容量化が加速。
✅ CMOS技術の進展により、低消費電力デバイスの開発が加速。
✅ 日本の半導体産業が急成長し、アメリカ市場での競争力を強化。
✅ 半導体の微細加工技術が進化し、3μmプロセスが実用化。
1978年は、16ビット時代の幕開け、メモリの大容量化、日本企業の成長が進んだ年だった。
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