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1979年の半導体産業・技術分野の重要な動向

1979年は、マイクロプロセッサの進化、メモリ技術の飛躍的向上、CMOS技術の発展、日本企業の国際市場での躍進、半導体製造技術の進化が進んだ年でした。特に、Intel 8088の発表、64K DRAMの本格市場投入、低消費電力CMOS技術の実用化、日本の半導体メーカーの成長、微細加工技術の進展が注目されます。


1. Intel 8088の発表とIBM PCへの布石

IBM PCの基盤となるプロセッサ
1979年6月、Intelは16ビットマイクロプロセッサ「8088」を発表しました。これは、前年に発表されたIntel 8086をベースにしながらも、8ビットの外部バスを採用し、既存の8ビット周辺機器と互換性を持たせたモデルです。

Intel 8088の特徴
●16ビット内部アーキテクチャ
●8ビット外部バスで周辺機器との互換性を確保
●最大1MBのメモリ空間をサポート
●クロック周波数:4.77MHz(後にIBM PCに採用)
●CISC(Complex Instruction Set Computing)アーキテクチャ

この8088が、1981年にIBMが発表するIBM PCに採用されることとなり、結果的にx86アーキテクチャがPC業界の標準となる流れを生み出しました。

ポイント
Intel 8088が発表され、IBM PCの基盤が整った。


2. 64K DRAMの市場投入とメモリ技術の進化

大容量化の加速
1979年には、64K DRAM(Dynamic Random-Access Memory)の量産が本格化し、市場に投入されました。これは、従来の16K DRAMの4倍の容量を持ち、コンピュータのメモリ容量を飛躍的に増やしました。

64K DRAMの特徴
●従来の16K DRAMの4倍のストレージ容量
●メモリ価格の低下と高密度化の実現
●コンピュータやワークステーションの処理能力向上に貢献
●IBM、NEC、日立、東芝、富士通などが開発競争

この頃から、日本企業がメモリ市場での存在感を強め、1980年代に入ると、日本のDRAM市場シェアは世界を席巻するようになります。

ポイント
64K DRAMの市場投入により、メモリの大容量化が進んだ。


3. CMOS技術の発展と低消費電力デバイスの普及

省電力技術の進化
1979年は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)技術が大きく発展し、低消費電力のIC(集積回路)の商用化が進んだ年でした。

CMOS技術のメリット
●従来のNMOS・PMOSよりも消費電力が圧倒的に低い
●高い集積度を実現し、小型化が可能
●低発熱であり、省電力デバイスに適している
●ポータブル機器や電卓、時計などのバッテリー駆動機器に最適

特に、この頃から、CMOS技術が電卓やデジタル時計、携帯型電子機器に広く採用されるようになり、1980年代には半導体市場の主流技術へと成長していきました。

ポイント
CMOS技術が進化し、低消費電力デバイスが普及した。


4. 日本の半導体企業の急成長と国際競争力の向上

メモリ市場での優位性確立
1979年、日本の半導体産業は急成長し、特にメモリ分野において世界市場での競争力を高めました。

日本企業の主な動向
●NECが64K DRAMの開発に成功
●日立製作所が高性能LSIの量産化を推進
●東芝が半導体製造技術の革新を進める
●富士通がコンピュータ用プロセッサ開発を強化
●シャープがCMOS技術を用いた低消費電力デバイスを開発

また、通商産業省(現・経済産業省)は、日本の半導体産業の競争力強化を目指し、「VLSI(Very Large Scale Integration)プロジェクト」の支援を開始しました。この国家プロジェクトが後に、日本の半導体業界の世界的な躍進に大きく貢献することになります。

ポイント
日本の半導体企業が急成長し、世界市場での競争力を強化した。


5. 半導体製造技術の進化と微細加工技術の向上

プロセス技術の進化
1979年には、半導体製造技術のさらなる微細化が進み、3μm(3000nm)プロセスが実用化されるようになりました。これにより、トランジスタの密度が向上し、より高性能なICの製造が可能になりました。

主な製造技術の進展
●フォトリソグラフィ技術の高度化
●プラズマCVD(化学気相成長法)の発展
●エッチング技術の精度向上
●歩留まりの改善による生産コストの低減

これらの技術革新により、半導体チップの高密度化と低コスト化が進み、1980年代に向けてさらなる発展の土台が築かれました。

ポイント
半導体製造技術が進化し、3μmプロセスの実用化が進んだ。


まとめ

✅ Intel 8088の発表により、IBM PCの基盤が整った。
✅ 64K DRAMの市場投入により、メモリの大容量化が進んだ。
✅ CMOS技術が進化し、低消費電力デバイスが普及した。
✅ 日本の半導体企業が急成長し、世界市場での競争力を強化した。
✅ 半導体製造技術が進化し、3μmプロセスの実用化が進んだ。

1979年は、IBM PC時代の幕開け、大容量メモリの普及、日本企業の台頭、微細加工技術の発展が進んだ重要な年だった。






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