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2024年の半導体産業・技術分野における重要な動向は以下の通りです。
1. 市場の回復
2023年に一時的な縮小を経験した世界の半導体市場は、2024年には再び増加に転じ、2022年の水準を上回る6,112億米ドルに達すると予測されています。
2024年の半導体産業市場は、前年からの回復基調が鮮明となり、各種予測機関から成長が見込まれています。世界半導体市場統計(WSTS)の2024年秋季予測によれば、2024年の日本の半導体市場規模は前年比8.7%増の約7兆1,345億円とされています。
また、一般社団法人日本半導体製造装置協会(SEAJ)の2024年7月の発表によると、2024年度の日本製半導体製造装置の販売高は、メモリー投資の回復を背景に前年度比15%増の4兆2,522億円と予測されています。
さらに、野村證券のレポートでは、2024年の世界半導体市場規模が6,112億米ドルに達し、2022年の水準を上回ると予測されています。
これらのデータから、2024年の半導体産業は堅調な成長が期待されており、特に日本国内では製造装置の需要増加や市場規模の拡大が見込まれています。
2. 日本の政策と投資
日本政府は、半導体・デジタル産業戦略の一環として、2024年2月までに先端半導体の生産施設の整備および生産を行う計画を進めています。2024年における「半導体・デジタル産業戦略」の実施状況について、以下の主要な進捗が報告されています。
1. 先端半導体生産施設の整備
政府は、2024年2月までに先端半導体の生産施設の整備および生産を行う計画を進めています。
2. 九州地域での大規模投資
台湾積体電路製造(TSMC)などの企業が、熊本県を中心に約4.7兆円の投資を計画しています。
3. 生成AI開発力の強化
政府は、生成AIの基盤モデル開発力強化のため、計算資源の調達支援や国内外の開発者間の交流促進を進めています。
3. 企業の設備投資
2024年度の大企業・製造業では、EVや電池、半導体関連を中心に力強い設備投資が計画されています。
九州地域での大規模投資
台湾積体電路製造(TSMC)をはじめとする企業が、熊本県を中心に約4.7兆円の投資を計画しています。 この投資により、関連産業の活性化や地域経済への波及効果が期待されています。
日本電子材料の中期経営計画
日本電子材料株式会社は、2024年から2026年にかけての中期経営計画を策定し、設備投資や開発投資、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資、人的投資を積極的に推進する方針を示しています。 これにより、企業価値のさらなる向上を目指しています。
これらの動向は、2024年の半導体産業・技術分野における重要なトピックとして注目されています。
2024年の世界の半導体産業において、主要企業は大規模な投資計画と経営戦略を打ち出しています。以下に主な企業の動向をまとめました。
台湾積体電路製造(TSMC)
- 米国への投資: 2024年4月、TSMCはアリゾナ州に第3工場を設立する計画を発表しました。新工場では2ナノメートルまたはそれ以上の最先端プロセスを用いたチップを生産し、2030年末までに生産開始を目指しています。投資額は250億ドルとされています。
- 日本への投資: 2023年7月、TSMCの製造子会社であるJASMは熊本県に半導体工場を設立する計画を発表しました。主に12ナノメートルの半導体などを製造する予定で、投資額は100億ドルと見込まれています。
サムスン電子
- 米国での拡張: 2024年4月、サムスン電子はテキサス州オースティン近郊の半導体拠点において、新工場などの建設費投資額を2倍以上に増やす計画を明らかにしました。総投資額は240億ドルに上るとされています。
力晶積成電子製造(PSMC)
- インドへの進出: 2024年3月、PSMCはタタ・エレクトロニクスと提携し、グジャラート州でインド初の12インチウェハー工場を建設する計画を発表しました。投資額は110億ドルとされています。
- 日本での展開: 2023年7月、PSMCはSBIと共同で日本国内に半導体工場を建設するための準備会社を設立することに基本合意しました。計画では12インチウェハー工場を建設し、投資額は53.4億ドルと見込まれています。
グローバルファウンドリーズ
- 米国での拡張: 2024年2月、グローバルファウンドリーズはニューヨーク州マルタに新たな半導体生産施設を建設するほか、同州マルタとバーモント州バーリントンの既存施設も拡張する計画を発表しました。総投資額は110億ドルとされています。
インテル
- ポーランドでの新工場: 2023年6月、インテルはポーランド南西部のブロツワフ市近郊に半導体組み立て・検査工場を新設する計画を発表しました。投資額は46億ドルとされています。
SKハイニックス
- 米国での新施設: 2024年2月、SKハイニックスはインディアナ州ウエストラファイエットに先進的な半導体パッケージング工場と研究施設を建設する計画を明らかにしました。投資額は40億ドルとされています。
これらの大規模な投資計画は、各企業が半導体需要の増加や技術革新に対応し、グローバルな供給網を強化するための戦略的な動きといえます。
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