TOP > 半導体技術・産業動向の教養 > RISC-V

RISC-V

RISC-V(リスク・ファイブ)は、カリフォルニア大学バークレー校で開発され、オープンソースとして提供されている命令セットアーキテクチャ(ISA)です。その設計は、教育や研究目的での利用を念頭に置いており、誰でも自由に使用・実装できることが特徴です。

開発の背景と目的
RISC-Vは、2010年にカリフォルニア大学バークレー校のコンピュータサイエンス科で、新しいプロセッサ命令セットを開発するプロジェクトとして始まりました。創立メンバーには、RISCプロセッサの基礎を築いた計算機科学者のデイビッド・パターソン博士らが参加しており、当初は教育目的での利用を想定していました。


特徴と利点
- オープン性: RISC-Vはオープンな規格であり、誰でも自由に実装できます。
- シンプルで拡張性の高い設計: 基本命令セットはシンプルであり、用途に応じて拡張可能な設計となっています。これにより、組み込みシステムから高性能コンピューティングまで、幅広い分野での応用が期待されています。
- ライセンス料不要: 従来の商用ISAとは異なり、RISC-Vはライセンス料が不要であり、コスト削減や開発の自由度向上に寄与します。

エコシステムと普及状況
2015年には、RISC-Vの普及と標準化を推進するために「RISC-V Foundation」が設立され、現在ではGoogle、Qualcomm、NVIDIA、NXPなど、多くの企業や組織が参加しています。

さらに、2023年にはRISC-Vプロセッサ対応のオープンソース開発を加速させる組織「RISC-V Software Ecosystem」(RISE)プロジェクトが立ち上げられ、Google、NVIDIA、Qualcomm、インテルなどが参加しています。

RISC-Vは、オープンで柔軟なISAとして、教育・研究分野だけでなく、商業分野でも注目を集めています。そのシンプルで拡張性の高い設計により、今後さらに多くの応用が期待されています。



[オススメ記事]ミニコンピュータ PDP-1
[オススメ記事]2024年の半導体産業・技術分野の重要な動向