TOP > 半導体の出現発展史 > 1949年の半導体産業・技術分野の重要な動向
1949年は、半導体技術が基礎研究の段階から実用化に向けて進み始めた時期であり、特にトランジスタ技術の確立と理論の発展が進んだ年でした。以下に、1949年に起きた重要な出来事をまとめます。
1. トランジスタ技術の進展
●トランジスタ(点接触型トランジスタ)の改良
●1947年にベル研究所のジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテン、ウィリアム・ショックレーによって発明された点接触型トランジスタの改良が進められました。
●1948年にベル研究所は、より安定した接合型トランジスタ(ショックレー型トランジスタ)を開発し、1949年にはその特性が詳しく研究されるようになりました。
●これにより、トランジスタが真空管に代わる可能性のあるデバイスとして、注目され始めました。
2. ウィリアム・ショックレーによる接合型トランジスタの発表
●1949年、ウィリアム・ショックレーは「接合型トランジスタ(Junction Transistor)」の理論を正式に発表しました。
●これは、後に実用化されるトランジスタの基礎となる技術であり、点接触型トランジスタよりも安定した動作を可能にしました。
●この発表によって、半導体を用いた電子デバイスの将来性が明確になり、多くの研究機関や企業が半導体技術に注目するきっかけとなりました。
3. 半導体理論の発展
●1949年には、半導体の動作原理に関する理論的研究も進みました。
●バーディーン、ブラッテン、ショックレーによる研究成果が広まり、半導体の電子的性質についての理解が深まりました。
●ショックレーは後に、1950年に出版される「Electrons and Holes in Semiconductors(半導体の電子と正孔)」の準備を進めており、この年においても理論の発展が進められました。
4. 半導体産業の初期的な動き
●ベル研究所を中心に、トランジスタの商業化に向けた準備が始まる
●1949年には、トランジスタを実際の電子回路に組み込む研究が行われ、補聴器や通信機器への応用が検討されるようになりました。
●この頃から、RCAやGE(ゼネラル・エレクトリック)などの企業が半導体技術に関心を持ち始め、研究開発を加速させました。
5. 真空管から半導体への転換の兆し
●1949年の時点では、電子機器の主流は依然として真空管でしたが、トランジスタの可能性が真剣に議論され始めました。
●軍事技術や通信機器の分野では、より小型で低消費電力な電子部品への関心が高まりつつあり、トランジスタ技術の発展が待ち望まれていました。
●トランジスタの利点(小型・低消費電力・高信頼性)が認識され始めたことで、「将来的に真空管を置き換える技術になり得る」との見方が広まりました。
1949年の半導体技術の重要なポイント
1. ショックレーが「接合型トランジスタ」の理論を発表し、トランジスタ技術の進展に寄与。
2. ベル研究所を中心に、トランジスタの実用化に向けた研究開発が進められる。
3. 半導体の理論研究が進み、電子と正孔の振る舞いに関する理解が深まる。
4. トランジスタの商業化の可能性が広く認識され、企業が研究に関心を持ち始める。
5. 真空管からトランジスタへの技術転換の兆しが見え始める。
まとめ
1949年は、トランジスタ技術の基礎が固まり、商業化に向けた第一歩が踏み出された年でした。
特に、ショックレーが発表した接合型トランジスタの理論は、後の半導体産業の発展に大きな影響を与えました。
この時期に築かれた理論と技術の進歩が、1950年代以降の半導体革命へとつながっていきました。
[オススメ記事]1950年の半導体産業・技術分野の重要な動向
[オススメ記事]1962年の半導体産業・技術分野の重要な動向