TOP > 半導体の出現発展史 > 1957年の半導体産業・技術分野の重要な動向
1957年は、トランジスタ技術の進化と半導体産業の成長が加速した年でした。
また、ソ連の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げにより、アメリカが宇宙開発競争に突入し、半導体技術の軍事・宇宙分野での応用が一層進みました。
この年は、シリコントランジスタの本格的な実用化が始まり、半導体産業の発展において重要な転換点となりました。
1. シリコントランジスタの普及とゲルマニウムからの転換
●1950年代前半は、ゲルマニウムトランジスタが主流でしたが、1957年にはシリコントランジスタの生産が拡大し始めました。
●シリコンは耐熱性が高く、動作が安定しているため、軍事用途や高性能な電子機器向けに採用が進みました。
●Fairchild Semiconductor(フェアチャイルド・セミコンダクター)などの企業がこの技術に注目し、後のIC(集積回路)開発につながる基盤を築きました。
2. スプートニク・ショックとアメリカの宇宙開発競争
●1957年10月4日、ソ連が世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げました。
●これにより、アメリカは宇宙開発競争に本格的に突入し、軍事・宇宙関連の電子技術の発展が急務となりました。
●半導体技術の重要性が再認識され、アメリカ政府は半導体産業への投資を大幅に増やしました。
この動きが、後のNASA(1961年設立)やアポロ計画におけるIC技術の採用へとつながっていきます。
3. フェアチャイルド・セミコンダクターの設立
●1957年9月、フェアチャイルド・セミコンダクター(Fairchild Semiconductor)が設立されました。
●創業メンバーには、ロバート・ノイスやゴードン・ムーア(後のインテル共同創業者)などが含まれていました。
●プレーナー技術の開発が進み、後のIC(集積回路)の発明へとつながる基礎が築かれました。
この会社の設立は、シリコンバレーの発展において非常に重要な出来事でした。
4. 半導体市場の成長と産業の発展
●1957年には、トランジスタの需要が拡大し、特に軍事・航空機・通信機器向けの用途が増加しました。
●トランジスタラジオの開発が進み、ソニー(当時の東京通信工業)などの日本企業も市場に参入し始めました。
●アメリカでは、モトローラ(Motorola)やRCA(Radio Corporation of America)などの企業が半導体製造を強化しました。
5. 集積回路(IC)開発への布石
●1957年時点ではまだICは発明されていませんが、トランジスタの小型化・高性能化が進み、IC開発の準備段階に入っていました。
●フェアチャイルド・セミコンダクターの設立は、のちのIC技術の発展にとって極めて重要な出来事でした。
1957年の半導体技術の重要なポイント
1. シリコントランジスタの普及が進み、ゲルマニウムからの転換が始まる。
2. スプートニク・ショックにより、アメリカが宇宙開発競争に突入し、半導体技術への投資が加速。
3. フェアチャイルド・セミコンダクターが設立され、IC技術の開発へとつながる基盤が築かれる。
4. トランジスタの市場が成長し、特に軍事・航空・通信分野での需要が拡大。
5. トランジスタラジオの開発が進み、日本企業も半導体産業に参入し始める。
まとめ
1957年は、半導体技術が次の時代へ進む準備が整った年でした。
特に、スプートニク・ショックによる宇宙開発競争の激化は、アメリカ政府の半導体産業への投資拡大を引き起こし、その後のIC技術の発展へとつながっていきました。
また、フェアチャイルド・セミコンダクターの設立は、シリコンバレーの半導体産業の発展にとって決定的な出来事となりました。
このように、1957年の動向は、半導体産業が今日の電子機器・コンピュータ産業の基盤を築くうえで非常に重要な年だったといえます。
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