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2000年の半導体産業・技術分野の重要な動向

2000年は、インターネットとデジタル機器の普及による半導体需要の拡大が進んだ年でした。特に、DRAMの高密度化、プロセッサの性能向上、シリコン技術の進化などが目立ちました。また、ITバブルの影響で半導体市場が急成長したものの、後半にはバブル崩壊の兆しも見え始めました。


1. 世界半導体市場の急成長

●2000年の世界半導体市場規模は約2,048億ドル(前年比37%増)となり、過去最高を記録しました。
●ITバブルの影響でパソコン・サーバー・ネットワーク機器・携帯電話の需要が急増し、それに伴い半導体の需要も大幅に拡大しました。
●特に、IntelやAMDのプロセッサ、Samsungのメモリ、TI(テキサス・インスツルメンツ)のDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)などが市場を牽引しました。


2. DRAM市場の拡大と技術進化

●2000年には、128Mb(メガビット)DRAMが主流となり、256Mb DRAMの量産が開始されました。
●Samsung、Micron、Hynix(当時はLG SemiconとHyundai Electronicsが合併)などが競争を繰り広げました。
●ただし、後半になるとDRAM価格が急落し、メモリメーカーの利益圧迫が始まりました。


3. IntelとAMDのプロセッサ競争

●Intelは、「Pentium 4」を発表し、プロセッサのクロック速度を1.5GHzに到達させました。
●AMDは「Athlon」シリーズを強化し、1GHzの壁を初めて突破しました。
●この結果、クロック速度競争が本格化し、PC市場においてAMDのシェアが拡大しました。


4. モバイル向け半導体の進化

●2000年は、携帯電話の普及が急速に進んだ年であり、モバイル向け半導体の需要も拡大しました。
●ARMプロセッサが急成長し、多くの携帯電話メーカーに採用されました。
●液晶ディスプレイの普及が進み、ディスプレイドライバIC市場が成長しました。


5. ITバブルと半導体産業の変化

●1999年から続いたITバブルの影響で半導体業界は活況を呈していましたが、2000年後半からバブル崩壊の兆しが見え始めました。
●過剰投資による生産能力の増強が、2001年以降の市場低迷を招く要因となりました。
●2001年には、半導体市場が大幅に縮小することになり、2000年の急成長との落差が激しい年となりました。

2000年の半導体技術の重要なポイント

1. 世界半導体市場が2,000億ドルを突破し、過去最高を記録。
2. 128Mb DRAMが主流になり、256Mb DRAMの量産が開始。
3. IntelのPentium 4とAMDのAthlonが1GHz超えのクロック速度競争を展開。
4. 携帯電話市場の成長に伴い、モバイル向け半導体が拡大。
5. ITバブルの影響で半導体需要が急増したが、2001年にはバブル崩壊の影響を受けることに。

まとめ

2000年は、半導体市場が空前の成長を遂げた年でしたが、その背景にはITバブルの影響が大きくありました。プロセッサの高性能化、メモリの大容量化、モバイル市場の成長など、多くの技術革新が進みましたが、翌年には市場の大幅な落ち込みが待ち受けていました。



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