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2019年の半導体産業・技術分野の重要な動向

2019年の半導体業界は、米中貿易摩擦の激化、メモリ市場の低迷、5G技術の進展、AI向け半導体の成長、主要企業のM&A(合併・買収)など、多くの重要な出来事がありました。以下に、それぞれの動向を詳しく解説します。


1. 米中貿易摩擦の影響

Huaweiへの制裁と半導体業界への影響
●2019年5月、米国政府は中国の通信機器大手Huawei(ファーウェイ)を「エンティティリスト(輸出禁止リスト)」に追加し、米国企業がHuaweiに対して半導体を含む技術を提供できなくなる措置を発表しました。
●Qualcomm(クアルコム)、Intel(インテル)、Xilinx(ザイリンクス)、Broadcom(ブロードコム)などの米国半導体企業は、Huawei向けのチップ供給が制限され、業績に影響を受けました。
●Huaweiは自社開発チップ(HiSilicon製)の開発を進め、TSMC(台湾)での製造に依存する形になりましたが、米国のさらなる制裁が懸念される状況でした。

中国の半導体自給率向上戦略
●米国の規制強化を受けて、中国政府は半導体の国産化を加速させる政策を強化しました。
●中国の主要半導体メーカーであるSMIC(中芯国際)は、14nmプロセス技術を量産化し、先端半導体製造の競争に参入しました。
●YMTC(長江メモリ)は、3D NANDフラッシュメモリの量産を進め、SamsungやMicronとの競争を目指しました。


2. メモリ市場の低迷

DRAM・NAND価格の下落
●2018年までのメモリバブルとは対照的に、2019年はDRAMとNANDフラッシュの価格が大幅に下落しました。
●主な要因として、
- スマートフォン市場の成長鈍化
- データセンターの設備投資抑制
- メモリ供給の過剰
が挙げられます。
●Samsung、SK Hynix、Micronなどの大手メモリメーカーは、生産調整(減産)を行い、市場価格の安定化を試みました。

日本と韓国の貿易摩擦(輸出規制)
●2019年7月、日本政府は韓国向けの半導体製造材料(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)の輸出管理を厳格化しました。
●これにより、SamsungやSK Hynixが半導体製造に必要な素材の調達リスクに直面しました。
●韓国側は国産化を進め、国内メーカーのSoulbrain(ソウルブレイン)やDongjin Semichem(東進セミケム)が代替供給を強化しました。


3. 5Gの本格的な普及と半導体市場への影響

●2019年は5Gスマートフォンと5G通信インフラの普及が始まった年でした。
●Qualcomm、Samsung、Huawei(HiSilicon)、MediaTekは、5G対応のモバイルSoC(システムオンチップ)を発表し、スマートフォン市場に投入しました。
●5G対応の半導体需要が増加し、RF半導体(アンテナ関連)やミリ波対応チップの開発が加速しました。


4. AI・データセンター向け半導体の成長

NVIDIAとAMDのデータセンター市場拡大
●AI処理向けのGPU(グラフィックプロセッシングユニット)やTPU(Tensor Processing Unit)の需要が引き続き成長しました。
●NVIDIAは「Tesla V100」「T4」などのデータセンター向けGPUを販売し、クラウドサービス向けに採用されました。
●AMDはEPYCプロセッサ(Zen 2アーキテクチャ)を投入し、データセンター市場でのシェア拡大を狙いました。

GoogleのTPU、AmazonのAIチップ
●Googleは第3世代のTPU(Tensor Processing Unit)を発表し、AI向け半導体市場での競争力を強化しました。
●Amazonは、クラウド向けのカスタムAIチップ「Inferentia」を発表し、自社のAWSクラウドサービスに組み込みました。


5. 先端半導体プロセスの進展

TSMCとSamsungの7nmプロセス競争
●2019年、TSMC(台湾)とSamsung(韓国)は、7nmプロセスの量産を本格化しました。
●TSMCの7nmプロセスはAppleのA13 Bionic(iPhone 11シリーズ)やAMDのZen 2(Ryzen 3000シリーズ)に採用され、大きな成功を収めました。
●一方、Intelは10nmプロセスの量産が遅れ、競争力が低下しました。


6. 半導体業界のM&A(企業買収)

IntelがAI半導体企業Habana Labsを買収
●Intelは、AI向けの推論プロセッサを開発するイスラエルのHabana Labsを20億ドルで買収しました。
●AI半導体市場での競争力を高める狙いがありました。

NVIDIAがMellanoxを買収
●NVIDIAは、データセンター向けネットワーク企業Mellanox(メラノックス)を69億ドルで買収しました。
●これにより、NVIDIAはAIやHPC(高性能計算)向けの半導体事業を強化しました。


7. 自動車向け半導体の成長

●電気自動車(EV)や自動運転技術の進化により、車載半導体の需要が増加しました。
●NXP、Infineon、Renesasなどの半導体メーカーが、自動車向けプロセッサやセンサー技術を強化しました。


まとめ

2019年の半導体業界は、以下の重要なトピックがありました:

✅米中貿易摩擦の影響(Huawei制裁、SMICの成長)
✅メモリ市場の低迷と日韓貿易摩擦
✅5Gの普及による半導体需要の増加
✅AI・データセンター市場の成長(NVIDIA・AMD・GoogleのAI半導体)
✅TSMCとSamsungの7nmプロセス競争
✅M&Aの活発化(IntelのHabana Labs買収、NVIDIAのMellanox買収)
✅自動車向け半導体市場の成長

2019年は、米中対立の激化と技術革新が交錯した年であり、2020年以降の半導体市場の成長を決定づける重要な時期でした。




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