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1959年の半導体産業・技術分野の重要な動向

1959年の半導体産業・技術分野における重要な動向は以下のとおりです。


1. MOSトランジスタ(MOSFET)の発明

1959年は、現代の半導体技術の基盤となる「MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)」が発明された年です。
●発明者: ベル研究所のモハメド・アタラ(Mohamed Atalla)とダワン・カーン(Dawon Kahng)
技術の概要:
●MOSFETは、シリコン基板上に酸化膜(SiO₂)を形成し、その上に金属ゲートを配置する構造を持つ。
●従来のバイポーラトランジスタに比べ、MOSFETは消費電力が低く、大規模集積回路(LSI)に適していた。
●後にCMOS(Complementary MOS)技術の発展につながり、コンピュータやスマートフォン、あらゆる電子機器の主要な構成要素となる。

この発明は、後の半導体技術の発展において極めて重要なマイルストーンとなりました。


2. IC(集積回路)技術の発展

●1958年にテキサス・インスツルメンツ(TI)のジャック・キルビー(Jack Kilby)が世界初のIC(集積回路)を発明しましたが、1959年にはフェアチャイルド・セミコンダクターのロバート・ノイス(Robert Noyce)がICの改良版を発明しました。
●キルビーのIC: ゲルマニウム基板上に作られたが、製造工程が複雑で実用化には課題があった。
●ノイスのIC: シリコン基板を使用し、フォトリソグラフィ技術を活用することで、大量生産が可能なプロセスを開発。これにより、IC技術の実用化が大きく前進した。
●この技術は、後のマイクロプロセッサやメモリチップの基盤となる。


3. シリコンが半導体の主流に

●1950年代半ばまで、トランジスタの主流材料はゲルマニウムでしたが、1959年にはシリコンが半導体の主流材料として確立されました。
理由:
●シリコンの酸化膜(SiO₂)がMOSFETの開発に適していた。
●ゲルマニウムよりも高温で安定して動作する特性があった。
●シリコンを大量生産する技術が進展し、コスト面でも有利になった。

●1959年以降、シリコンベースのトランジスタやICが急速に発展し、半導体産業の基盤となる。

4. フェアチャイルド・セミコンダクターの成長


●1957年に設立されたフェアチャイルド・セミコンダクター(Fairchild Semiconductor)は、1959年時点で急成長しており、シリコントランジスタとIC技術の開発をリードする企業になっていました。
●創業メンバーには、後にIntelを創業するロバート・ノイスやゴードン・ムーアが含まれていた。
●この時期に確立された技術が、後の「シリコンバレー」の発展につながる。


5. 半導体製造技術の進展


●フォトリソグラフィ技術の発展: 1959年には、ICの量産化を可能にするためのフォトリソグラフィ技術(光を使ったパターン転写技術)が改良されていた。
●エピタキシャル成長法: 高品質なシリコンウェハーの作成技術が向上し、半導体の性能向上に貢献。
●半導体デバイスの高信頼化: トランジスタやICの信頼性向上が進み、軍事用途だけでなく商業用途への応用が拡大。


6. コンピュータと電子機器への応用


●1959年時点では、半導体技術は主に軍事・航空宇宙産業(ミサイル誘導システム、NASAの宇宙開発など)に使用されていた。
●しかし、IC技術の発展により、商業用途の電子機器(電卓、ラジオ、初期のコンピュータ)への応用が本格化し始める。
●1960年代に入ると、この流れが加速し、IBMやUNIVACなどが半導体技術を採用したコンピュータ開発を進めていくことになる。


まとめ


1959年は、半導体技術の歴史において極めて重要な年であり、以下の革新的な技術が生まれました。

1. MOSFET(MOSトランジスタ)の発明(モハメド・アタラ&ダワン・カーン)
2. シリコン集積回路(IC)の実用化(ロバート・ノイス)
3. シリコンが半導体の主流材料に確定
4. フェアチャイルド・セミコンダクターの台頭(シリコンバレーの誕生につながる)
5. 半導体製造技術(フォトリソグラフィやエピタキシャル成長法)の進展
6. コンピュータや電子機器への応用拡大

この年に確立された技術が、その後の半導体産業の発展を支え、今日のコンピュータやスマートフォンなどの基盤となる技術へと進化していきました。

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