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電卓戦争からLSIの発展へ

電卓の進化と半導体産業への影響
IC(集積回路)の発明は電卓(電子式卓上計算機)に大きな変化をもたらしました。電卓自体は1963年に発明されましたが、当初は真空管を使用しており、重量は14kg、大きさも現在のデスクトップパソコン本体より大きなものでした。それでも機械式(歯車式)計算機よりも騒音が少なく、計算速度が速い画期的な発明とされました。

半導体電卓の登場と電卓戦争
1964年、半導体を用いた電卓が発表され、これを契機に日本メーカーを含む各社が電卓開発に参入しました。テキサス・インスツルメンツやカシオ計算機、シャープなどが競い合い、1960年代後半から1970年代後半にかけて「電卓戦争」と呼ばれる市場競争が巻き起こります。

この電卓戦争により、次のような影響が世界に広がりました:
1. 半導体産業に民間需要を呼び込み、需要を急激に拡大。
2. ICやLSI(大規模集積回路)の集積度向上が進展。
3. 液晶や太陽電池など、新たなデバイスが実用化。
4. 世界初のマイクロプロセッサ「インテル4004」の開発。

電卓の普及とムーアの法則
当初の電卓は大きく高価で企業向けの業務用が主流でしたが、LSIの開発により小型化・低価格化が進みます。ムーアの法則(1965年)による「半導体の集積度は1.5年で2倍」という予測は、この技術発展を後押ししました。その後も半導体の性能向上は続き、1970年代には個人でも電卓を所有できるようになり、1972年には「カシオミニ」が登場しました。

液晶・太陽電池電卓と技術の波及
1973年、シャープが液晶ディスプレイを搭載した電卓を発売し、小型化と軽量化が進みます。さらに1976年には同じくシャープから太陽電池を搭載した電卓が登場。これらの技術は電卓以外の分野にも波及し、技術革新の重要性が際立ちました。

マイクロプロセッサの開発とその意義
電卓戦争の中で生まれた最も大きな革新が、1971年にインテルが開発した世界初のマイクロプロセッサ「インテル4004」です。このCPUは、汎用コンピュータという新しい概念のもとに開発されました。当時、電卓のICは機種ごとにカスタム設計されており、効率的な設計が求められていました。

インテルの提案で、汎用CPUにソフトウェアを読み込ませる仕組みが採用され、プログラムの変更でさまざまな処理が可能となりました。これが現在のコンピュータ時代の礎となり、IC技術の進化を一層加速させたのです。




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