TOP > 半導体年表 > 1968年の半導体産業・技術分野の重要な動向
1968年は、半導体技術の発展と市場の成長が加速し、特にMOSトランジスタの進化、IC(集積回路)の普及、半導体メモリ技術の発展、そして半導体業界の再編が進んだ年でした。また、この年にはIntel(インテル)の創業という半導体業界にとって極めて重要な出来事がありました。
1. Intel(インテル)の創業
1968年7月18日、ロバート・ノイス(Robert Noyce)とゴードン・ムーア(Gordon Moore)によってIntelが創業されました。
Intel創業の背景
●ロバート・ノイス(ICの共同発明者)とゴードン・ムーア(ムーアの法則を提唱)がフェアチャイルド・セミコンダクターを退社。
●フェアチャイルドの組織の硬直化を嫌い、新たなベンチャー企業としてIntel(Integrated Electronics)を設立。
●Intelは、当初はメモリ市場に焦点を当て、高速な半導体メモリの開発に取り組む。
Intelの設立は、後のマイクロプロセッサの誕生とPC革命へとつながる重要な転換点でした。
2. MOSトランジスタ技術の進化
1968年は、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ技術が急速に進化し、半導体業界での採用が拡大しました。
MOSトランジスタの進展
●MOS ICの商用化が進み、従来のバイポーラICに対する競争力が向上。
●低消費電力の特性が評価され、特に電卓や小型電子機器への応用が始まる。
●CMOS(Complementary MOS)技術の研究が進み、将来的な省電力化の可能性が広がる。
MOSトランジスタ技術の向上により、後のマイクロプロセッサ(MPU)やDRAMの開発につながる道が開かれました。
3. IC(集積回路)の普及拡大
1968年には、ICが軍事・宇宙開発用途から民生用途へと広がりを見せた年でもありました。
IC市場の動向
●IBM、AT&T、NASAなどがIC技術を積極的に採用。
●アポロ計画の誘導コンピュータ(AGC)にICが使用され、NASAの技術革新が進む。
●テキサス・インスツルメンツ(TI)やフェアチャイルド・セミコンダクターがICの商用展開を拡大。
●日本企業(日立、NEC、東芝など)がIC開発に本格参入。
ICの普及が進んだことで、後のマイクロプロセッサやコンピュータ産業の発展につながる重要な基盤が形成されました。
4. 半導体メモリ技術の進化
1968年には、半導体メモリの研究が進展し、磁気コアメモリからの移行が本格化し始めました。
主な技術進展
●Intelの創業メンバーが半導体メモリの可能性を模索。
●SRAM(Static RAM)の開発が進み、より高速なメモリが登場。
●DRAM(Dynamic RAM)の研究が進展し、後のDRAM市場の成長の布石となる。
この時期の半導体メモリ技術の発展が、1970年のIntel 1103(世界初の商用DRAM)の登場へとつながります。
5. 半導体製造技術の革新
1968年には、半導体の製造プロセス技術が向上し、高性能なICの大量生産が可能になりました。
主要な製造技術の進展
●フォトリソグラフィ技術の向上により、より微細な回路パターンの形成が可能に。
●エピタキシャル成長技術の改良により、シリコンウェーハの品質が向上。
●プラナープロセス技術が一般化し、ICの信頼性と歩留まりが改善。
これらの技術革新により、ICのコスト低減と大量生産が現実化し、コンピュータやエレクトロニクス製品への応用が加速しました。
6. 日本の半導体産業の成長
1968年には、日本の半導体メーカーが本格的にIC市場へ参入し、国際競争が激化しました。
日本企業の動向
●日立、NEC、東芝、三菱電機がICの開発・製造を強化。
●日本政府が半導体産業を支援し、研究開発の推進を強化。
●ソニーやシャープがトランジスタ技術を活用した製品開発を加速。
この時期の日本の成長が、1980年代の日本の半導体産業の世界的躍進へとつながることになります。
7. 軍事・宇宙分野での半導体利用
1968年には、アメリカの軍事・宇宙開発において半導体技術の重要性がさらに増しました。
主要な動向
●NASAのアポロ計画で半導体ICが多数採用され、宇宙船の電子システムの性能が向上。
●米軍がミサイル誘導システムに半導体技術を採用し、精度を向上。
●DARPA(国防高等研究計画局)が半導体技術の研究開発を支援。
軍事・宇宙分野での技術革新が、その後の民間エレクトロニクス市場への波及につながりました。
まとめ
✅ Intelが創業し、半導体業界に新たなリーダーが登場。
✅ MOSトランジスタ技術が進化し、低消費電力デバイスが普及。
✅ ICの商業利用が拡大し、民生市場へと広がる。
✅ 半導体メモリ技術が発展し、DRAMやSRAMの基礎が確立。
✅ 半導体製造技術の革新により、コスト削減と高集積化が進む。
✅ 日本企業が半導体市場に本格参入し、国際競争が激化。
✅ 軍事・宇宙開発における半導体技術の活用が拡大。
1968年は、Intelの創業をはじめ、MOS技術の発展、ICの普及、半導体メモリの進展など、半導体業界にとって大きな転換点となる年だった。この技術革新が、のちのマイクロプロセッサ、DRAM、CMOS技術の発展へとつながりました。
[オススメ記事]1969年の半導体産業・技術分野の重要な動向
[オススメ記事]1967年の半導体産業・技術分野の重要な動向